講座で学んだファシリテーションを高校でキャリア教育授業を通して実践中の第3期学問ファシリテーター育成講座。
今回は、受講生インタビュー最終回!
茨城大学大学院農学研究科で“地域が主体になる再生可能エネルギー開発”を研究している鈴木耕太(あらた)さんにインタビュー。
参加者の主体性を引き出すことが、まちづくりにも教育にも重要…?
Foraでの学びを経て、社会の問題を解決していくあらたさんに迫ります!
“参加者を主体にする”研究とファシリテーション
―はじめに、学問ファシリテーター育成講座に参加したきっかけを教えてください。
「たまたまFacebookで目にして、何となく気になってHPをのぞいてみたんです。
見ているなかで、“参加者の主体性を引き出す”というメッセージに共感して、参加しました。」
―ありがとうございます。そのメッセージに共感していただいたのは、あらたさんが普段やられていることと繋がる部分があったんですか?
「僕は“地域が主体になる再生可能エネルギー開発(以下、再エネ)”を大学院で研究していて、まさにそれに直結するなと。」
―地域が主体になる、とは…?
「地域を自分たちで活性化させる当事者意識を持ってもらって、
その地域の人たちが中心となって再エネを地域活性化のために活用していくって感じですね。
再エネをうまく活用すれば、もっとその地域にとってメリットがあると思うんです。」
―再エネって太陽光発電とか、水力発電とかですよね。結構地方の広大な土地で作ってるイメージありますが…
「地方にある太陽光発電所って、地方で電気を作って都市に電気を送っていることが多いんです。
つまりその地方にお金は入っていないんですね。そもそも再エネを知らない人も結構いて。」
―そうなんですね。
「だから、その地域の人たちが自分たちの地域についてもっと議論して、当事者意識をもっていくためにも、
Foraの掲げる“参加者の主体性を引き出す”って必要だなと。
それに、再エネを活用してもらうために説得するにしても、まずはその地域の人たちが置いてけぼりにならないように、主体性を促せたらと思っています。」
いざファシリテーション実践!
―講座が12月に終わって、講座の実践として授業に行かれたと思うのですが、今のところどんな印象ですか?
「まず余裕が持てなくて、授業時間内に終わらせること、次行うことを考えて焦ってしまうことが多いなと思います。
講座内で、話をするときに“自分をもう一人作る”っていう話がありましたが、まさにそれ大事だなと感じています。」
―客観視して自分や周りを見る、って話でしたね。
「そうです。自分の今やっていることで必死になるので、
高校生がどんな表情をしていて、参加しやすい環境かを見れるくらい余裕でいられたらと思います。」
―そのためにどうしたらいいと思います?
「事前の準備をしっかりすることと、場数を踏むことだと思います。講座内でもすごく言われましたが、それ痛感しました…。」
―事前準備!本当に大事。自分に自信つける意味でもそうですよね。
「そうですよね。あと、自分の研究にもつながるのですが、講座で学んだ
“聞いている人と一緒にその場を作っていく”って難しいけど大切にしたいです。すごい印象に残ってます。」
―確かに。その場や人を即興的に使っていけるのもファシリの楽しさですね。
「あと実践の中でグループサイズが大事だなって思いました!
いきなり生徒さんの誰かに質問しても恥ずかしくて答えられないこともあったので、
まずは個人で考えて、少人数で話して、それをシェアしてもらうとか。」
―講座で学んだことすごい使ってるじゃないですか…
そのための実践なんですけど、それにしてもすごい…。
教育・地域の共通課題
―今までお話を伺っていると、あらたさんのされている研究とファシリテーションってすごく直結している印象を受けたのですが、
ファシリテーションを実施している場でもある教育現場とまちづくりで共通の課題とか思いつきますか?
「可能性を知らない、知れないことかなと思います。」
―無茶ぶりなのに即答さすがすぎる…。
「地方って、すごくレールに沿った人生を送っているなと感じるんです。
小中卒業して、高校大学に入って、22歳で卒業して、なんとなく就職、みたいな。そういうみんな似たレールを走っているような。」
―そうなんですね。どうしてでしょうね?
「それが、選択肢や自分の可能性を知る環境がないからなんじゃないかと。
教育においても、地域の活性化においても、地方って情報量が少なくて。そもそも“選択肢を知らない”ことがあるなって体感していて。」
―情報化社会とはいえ現状そうなんですね…。
「はい、そこで自己肯定感って大事になってくるなって思うんです。
例えば休学っていう選択肢を知っても、それには勇気が必要で、その勇気を引き出すものは、自己肯定感じゃないかと。
地域でも同じで、よし、これを使おう、とかやってみよう!って一歩踏み出す勇気が大事なんですよね。」
―なるほど。選択肢をまず知る機会が少なくて、知っても自己肯定感が薄いのが問題だと。
「そう思います。だから、自分がファシリテーションを通して、その人や地域に寄り添って、一緒に可能性を見出せたらなと考えてます。」
―すごくいいですね…!まさに参加者を主体にする考え方。
「結構臭いこと言ってません?(笑)
高校で授業するなかでも、生徒のみんなに“思ってるより君たちすごいんだよ!”っていうメッセージを発信し続けたいです。」
まちづくりに、自分に活かせるファシリテーション講座
―学問ファシリテーター育成講座を勧めるならどんな人に勧めたいですか?
「まちづくりに興味のある人にぜひ勧めたいですね。
さっきも言いましたが、まちづくりにおいてそこに住んでいる人たちにいかに主体性を持って参加してもらうかが重要になるので、それを促せるようなことを学べます。
こちら側が主体になりがちですが、そうじゃなくて相手を主体にするってすごく難しいんです。
それが学べて良かったと思います。」
―まさに、ファシリテーションって“促す”って意味を持っていますもんね。
「そうですね。あと、みんなの個性をみんなが受け入れてくれる感じがすごくいいなと思っているので、
失敗しちゃいけないとか思わずにいられるのもあって、そういう考えに縛られがちな人にもいいかもしれないですね。」
―確かに、私もそれにすごく救われました。
「みんな個性があるけど、世の中をよくしたいって思っている共通の想いが見えるのもうれしくて、
僕茨城から毎週2時間ちょっとかけて来ていました。そのくらい、受けていて楽しかったです。」
―2時間…!そう思っていただけて本当にうれしいです。本日はありがとうございました!